虫歯は、ごく初期の段階で発見できれば削らなくても治すことができますし、ある程度進んだ段階での虫歯でも削って詰め物をするなどすれば治すことができます。しかしそれ以上進んでしまった場合はどうすればよいのでしょうか。
今回は、虫歯が進行しきってしまった場合の治療方法として選ばれる「根管治療」について解説していきます。
虫歯は、ごく初期の段階で発見できれば削らなくても治すことができますし、ある程度進んだ段階での虫歯でも削って詰め物をするなどすれば治すことができます。しかしそれ以上進んでしまった場合はどうすればよいのでしょうか。
今回は、虫歯が進行しきってしまった場合の治療方法として選ばれる「根管治療」について解説していきます。
根管治療とは、進行しきった虫歯への対抗策として使われる治療方法です。
虫歯は、段階を追って進んでいきます。初めは表面のエナメル層だけが虫歯に侵されるのですが、その後虫歯菌の浸食が進めばその下の象牙質が、それでも治療を施さないとやがて歯の神経が侵されるようになります。
なお歯の神経が侵されたのちも治療をしなかった場合は、歯の大部分が失われることになります。
虫歯は早期発見・早期治療が必須です。歯の神経にまで虫歯菌が達してしまうと、その前には使えていた治療方法が使えなくなることもあります。場合によっては、抜歯が必要になることすらあります。
ただ、歯の神経に虫歯が到達してしまった場合であっても、「根管治療」を使えば、抜歯を免れることができる場合もあります。
歯の神経を「歯髄(しずい)」と呼ぶのですが、文字通り、この歯髄を抜き去ることを「抜髄」といいます。歯の神経まで虫歯菌が達してしまっていてひどい炎症を起こしている場合でも、この抜髄によって炎症が収まることが期待できます。
抜髄を行う前には、無菌状態を作り出し、丁寧に抜き取っていく必要があります。抜髄後に適切なかぶせものを行えば、それ以上歯の内部に虫歯菌が入り込むことがありません。この抜髄による治療は高い成功率を示し、施術を受けた人の80パーセント以上が成功するとされています。
歯の神経の内部で起きている炎症(歯髄炎)が進行してしまった結果、神経が壊死してしまった状態になることがあります。この状態になると膿も出てくることになります。
この状況の場合は、治療をしようとすると、歯の神経にアプローチすることはもちろん、生じた汚れの清掃も一緒に行わなければなりません。この状態で放置しておくと、骨が溶解して、もっとも恐ろしい「抜歯」に至ってしまうからです。
ちなみにこの感染根管治療は、上で挙げた「抜髄」よりも難易度が高い手術です。なぜなら抜髄の場合は歯の根っこにまではまだ虫歯菌が達していない状態であるのに比べ、根管治療の場合はすでにここも虫歯菌に侵されているからです。そのため成功率は低く、70パーセント程度に改善が見られたら良いほうであるとされています。
根管治療は非常に強力な手術ではありますが、「根管治療を一度受けてしまえば、それで終わり。二度と重い虫歯にはかからない」というわけではありません。根管治療を受けた場所が再度侵されて治療する必要が出てくることもあります。
再根管治療とは、上で挙げた抜髄・感染根管治療を受けたにも関わらず、患部でまた細菌が繁殖した状態のときに行われる手術です。一度詰めた詰め物を取り除いたのちに清掃を行い、もう一度根管治療を受けることになります。
ただし、再根管治療は必ず受けられるわけではありません。この段階ですでに歯の土台となる骨までもが溶けてしまっている場合や。歯が割れてしまっている場合は、根管治療を行うことができません。
ここまで、3つの根管治療について紹介してきました。なお根管治療はしばしば「抜歯を避けるための最後の手段」ともいわれていますが、ケースによっては根管治療と歯内療法外科(患部となる歯に、外科的な手段を用いてアプローチしていくこと。「外科的歯内療法」とも呼ばれる)と組み合わせる手法も取られます。
この2つを掛け合わせることで、根管治療だけでは治しきれなかった歯を治すことができる場合もあります。
ここからは、根管治療の流れについて解説していきます。なお今回紹介している手順は、「神経が現存している状態で、かつそれを取り除かなければならない状態」を想定しています。
歯の神経を抜き取ります。麻酔をかけて行うやり方が基本となりますが、その前段階として、一度薬を塗って炎症を和らげる手順を踏むこともあります。
1と並行しながら、根管の清掃を行っていきます。また、この部位に薬を入れていきます。薬は根管内を無菌状態にするものであり、これが成功するかどうかで成功確率が大きく変わってくるものです。そのためこの清掃や薬を入れる作業は、完全に根管の中がきれいになるまで何度か繰り返して行うことになります。
神経を取り除き、汚れも菌もいなくなった根管の中にシーリング材を入れていきます。このシーリング材をしっかり詰めることで、菌の再度の発生をブロックすることができます。逆に言うと、この詰め物の処理が甘かった場合、再度細菌の発生を許し、もう一度治療をしなければならなくなることもあります。
無事に治療が終わったら、欠損部を補う手順 に移ります。必要に応じて土台を作り、かぶせものをします。なおこのかぶせものの工程では、抜髄を伴わない施術同様、「かみ合わせ」のチェックも行います。
根管治療は、「これを行えばどんな虫歯であっても100パーセント治るし、再発もしない」というものではありません。しかし一般的な手順では対応ができない状態の歯であっても、この根管治療を施すことによって、「最悪の状態」を免れる可能性は高いといえます。
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